ホスピタリティー・感動のサービスが実現する時

愛と感動のレストラン「カシータ」

皆さんは、愛と感動のレストラン「Casita」(カシータ)をご存知だろうか。アジアの高級リゾートをテーマにした新しい形のリゾートレストランで、アジアン・フレンチ料理を楽しめる。今月は、昨年末に私が友人と視察に訪れた時の驚きと感動をお伝えしよう。(当時は六本木、現在は青山に移転)

予約日の朝、私の携帯にカシータのスタッフから連絡が入り、私と友人の職業・勤務先を尋ねられた。私は「コンサルタントの田中司朗と申します。友人はA社の橘部長です」と答え、その夜、予定通りお店に向かった。以下、店内に足を踏み入れた時から順を追って、その“驚きと感動”に満ちたサービスを記していくことにする。

1.まずはフロントにて、笑顔で「いらっしゃいませ」と迎えられた。ここまでは普通だが、続いてフロアスタッフ全員が「田中様、橘様、いらっしゃいませ」と挨拶。最初の驚きである。

2.案内されたのは3階のテラス席。すぐにハーブの香りがするおしぼりが出された。

3.おすすめのシャンパンを注文したところ、何とラベルには「Welcome toTANAKA TACHIIBANA-SAMA」と印刷してあった。

4.そのシャンパンをサーベルで抜く儀式があり、私が挑戦。見事に抜いた瞬間(誰でも簡単に抜けます)、スタッフの拍手が起こり、その瞬間のポラロイド写真をプレゼントされた。

5.前菜として無農薬の野菜コーナーがあり、旬の新鮮な野菜を選ぶと、それを炭火で焼いて提供してくれたのだ。

6,その後室内のメインテーブルに案内されたのだが、そこに置かれていたのは私が執筆中の雑誌『月刊飲食店経営』。その掲載ページが開かれており、フロアマネジャーが笑顔で一言、「大変勉強になりました」(…本当に?)。いやはや、参りました…。

7.テーブルの上に置かれたもう一つのサプライズは、手書きのメッセージカード。「本日はご来店いただききまして誠にありがとうございます。今夜はお時間の許す限りごゆっくりお寛ぎください」と書かれ、裏面には私の著書が印刷されているではないか。えーっ! そして橘部長のほうには社章と社名が印刷されていた。

8.布ナプキンに目やると、TANAKAと刺しゅうされている。

9.メニューにも「Welcome to Casita!! Tanaka-sama」と印刷してあるのだ。

10.フロアマネジャーがメニューについてわかりやすく説明してくれるので、安心してスムーズに注文ができる。

11.気の利くスタッフと談笑しながら、料理とワインを楽しむ。最高のひとときだ。

12.最後のデザートは、もう一度テラス席で。そこにはまたもやメッセージカードが。「田中様 お食事はお楽しみいただけましたでしょうか。食後のひとときもどうぞごゆっくりお過ごしください」と書かれ、先ほどと同様に裏面も印刷されている。

13.そしてデザート。大きなお皿にフルーツとケーキが並び、橘部長の会社名がチョコレートで記入されている。カプチーノにも社名が浮かんでいる。

14.最後に席を立ったとき、私たちのサービスを担当していない女性スタッフが「田中様、橘様、本日はありがとうございました」と声を掛けてくれた。なぜそんなことが可能なのか、いまもってわからない。これだけの飲食(フレンチ)とサービスで一人16,000円なのである。安い!(シャンパン・ワイン・フレンチのコース)

まさに驚きの連続! 微に入り細に入る喜びと感動の仕組みである。うれしくなった私は、友人・知人にカシータでの素晴らしい体験を語りまくり、セミ ナーでもしゃべり続けている。(口コミ効果は数千人に至るかも?)

食事の途中でお客様が結婚記念日だとわかり、ホテルまで花束を届けたという話などは序の口。この店には思わず胸に熱いものがこみあげる話がいっぱいだ。

ある常連のお客様が、「カシータでプロポーズをしたいが、何か彼女の心をつかむアイデアはないだろうか」と、オーナーの高橋氏に相談。考えた末、オーナーは彼女のふるさとである新潟にトラックを走らせ、荷台いっぱいの雪を集めてきたという。スタッフはその雪で雪だるまを作り、二人の席から見えるところに置いた。雪だるまに気づいた彼女にオーナーは言った。「これはあなたのふるさとの雪ですよ」と。彼女は目に涙をいっぱい浮かべて、彼とオーナーにお礼を述べたそうだ。世界でたった一つの、最高のプレゼントだったのである。

これぞ愛と感動のレストラン、カシータの魅力なのだ。これほどの素晴らしいレストランを私は他に知らない。伝説と感動のサービスに敬意を表したい。ありがとう、Casita!

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