ホスピタリティー・感動のサービスが実現する時

高一アルバイト、入店2日目の感動エピソード

「大阪梅田お好み焼本舗」は株式会社物語コーポレーション(小林佳雄代表)が運営す るお好み焼店で、現在18店舗展開中。その豊橋向山店、川合沙奈美女将の感動のサービスです。

河合女将が一番かるび(物語コーポレーションが運営する焼肉チェーン)藤枝店の店長を務めていたときのエピソードを紹介しよう。高一アルバイト、入店2日目の感動エピソード 。ある日、高校一年生の伊藤君という、すこぶる体格のよい男の子が面接にやってきた。生まれて初めてのアルバイトだという。素直で元気いっぱいで、どんな質問にも「大丈夫です。頑張ります」と答え、採用された。 2日目を迎え、バッシングの指導をしているうちに店がだんだんと混んできた。そこで河合店長は「私はみんなを助けてくるから、バッシングをお願いね。お客様をちゃんと見て、『いらっしゃいませ』『ありがとう』としっかり言うこと。お客様の隣の席を片付ける時は『失礼します』と一言お断りするんだよ」とだけ伝えて、伊藤君のそばを離れた。15分程度のつもりだったピークは思いのほか長引き、店内が落ち着きはじめた時には1時間以上が経過していた。忙しさにかまけて、伊藤君を放置してしまったのだ。

40代ぐらいの夫婦連れのお客様に「ちょっと店長」と声をかけられたのは、レジで会計の対応をしていた時である。「あそこで片付けをしている男の子を呼んできて!」と言われたのだ。思わず「ガーン!」となった。大クレームかもしれない!「何か失礼がございましたか。責任者は私ですので、承ります」とあわてて返答したが、お客様は「いいから呼んできて」と繰り返す。急いで伊藤君のそばへ行き、「レジのお客様とお話しした?」 と聞くと、「はい」との返事。「何か失礼があった?」「覚えていません」「お叱りを受けたら一緒に謝ろうね」「僕、何かしましたか?」「わからないけどお客様が呼んでるから、とにかく行こう」…というわけで、二人でお客様のところへ戻ったのだが、お客様は伊藤君と顔を合わせるなり、こう言ったのだ。「君、いいよ! すごく一生懸命だね。お客さんをきちんと見て、誰よりも大きな声でハキハキと挨拶していたね。私は最近の若者がこんなに一生懸命仕事をするとは思っていなかったよ。とてもいい気分になった。これからも頑張れよ。辞めるなよ」…そう言って、1000円のチップを伊藤君に渡したのである。伊藤君も店長もびっくりし、うれしくなり、ありがたいことだと思った。

だが、店長は同時に恥ずかしさも覚えた。ホールにはその時、店長自身やベテランも含めて7~8人のスタッフがいたのに、最も強くお客様の印象に残ったのは、入店わずか2日目の伊藤君だったのである。彼にできたのは、片付けをすることと挨拶だけ。なのにそのひたむきさがお客様の心を動かしたのだ。「誰にでもできることを誰にも負けないぐらい一生懸命やれば、感動を生むことができるということを、15歳の少年から学びました。それ以来私は、どんなに小さなことでも絶対に手を抜かないと決めました。誰にでもできることを誰よりも真剣に、ひたむきに。それが私の信条です」と河合女将は語る。

すばらしい! これを聞いたとき筆者の胸に熱いものがこみ上げてきて、不覚にも涙をこぼしてしまった。取材中にこのような状態になるのは、実に久しぶりのことだ。

最後に、河合女将の今後の抱負を伺った。 「女の子がイキイキと働ける店にしたい。女性がもっとスポットライトを浴びることのできる企業にしたい」とのこと。このルポがその引き金になるといいね、女将! 感動体験をありがとう。日本一のパワーをありがとう!

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