ホスピタリティー・感動のサービスが実現する時

名古屋駅麺通り なご家 田渕店長の、ちょっといい話

この店に異動する前の、一宮店での田渕店長のエピソードを紹介しよう。 オープンから閉店時まで、店長が呼び込みを続けていた時期があった。毎日大きな声で通行人にあいさつをしていたため顔なじみが増え、常連客になった人も多かったという。

そんな常連客の一人に若い女性がいた。週に3~4回来店し、らーめん作りは店長ご指名のことも多かった。ある日、食べ終えた後で突然彼女が店長に話しかけた。「いつもお店の前で店長さんの明るい声を聞き、元気をいただいていました。夢を追いかけてこの地に来たけど、何度も負けそうになりました。でも店長さんの声がいつも私を励ましてくれたんです。明日、沖縄の実家に帰ることになりました。淋しいですけど、もう一度沖縄で一から頑張ります。今まで、おいしいらーめんと元気な声をありがとうございました」店長は胸が熱くなり、「私も淋しいです」としか答えられなかったそうだ。…小さなドラマだけれど、飲食店のすばらしさがしみじみと伝わってきた

もう一つ素敵な話を紹介する。ある日、高校も専門学校も中退した女性がアルバイトの面接にやってきた。態度はぶっきらぼうだし、爪の色は派手でピアスも両耳にしっかり。髪も今日だけ一時的に黒くスプレーしてきたようだ。それでも店長は採用を決めた。この子がこの店で働くことによって変わるような気がしたからだ。初めてレジに立った時、お客様に「スープ、とてもおいしかったよ」と言われた彼女は、その言葉にじんときた。うれしくてたまらず、すぐさまキッチンに駆け込んで「スープがおいしかったと言われました!」と、泣きながら報告したのだ。  店長はつい「あたりまえだろ」と答えてしまったのだが、彼女に「なぜそんなこと言うんですか? すごく嬉しかったのに!」と言われ、ハッとした。人に感謝されることの喜びを初めて体験した彼女の純粋な気持ちに、やっと気づいたのだ。この精神を絶対に失ってはいけない。店長は、それをあらためて彼女に教えられた気がした。  彼女はそれ以来、お客様に喜ばれるための努力はもちろん、売上を上げるためのアテンドにも精を出すようになった。サジェストコンテストで頑張ったり、サンプルショーケースのディスプレイまでやるようになり、店に対する愛着心をどんどん高めていったそうだ。田渕店長にとって一番うれしいのは、人との出会いや仕事を通じてP/Aの心が豊かになり、成長していくのを見ることだ。

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