ホスピタリティー・感動のサービスが実現する時

げん屋の感動のサービス(物語コーポレーション)

この仕事をしていて良かったと思うことが多い岡田番頭だが、その中でも忘れられない感動のエピソードを三つ紹介しよう。

●異国からのお客様
 ある外国車メーカーの副社長(ドイツ人)がげん屋をお気に入りで、しばしばゲストを連れて来店していた。外国人のお客様がカウンターにズラリと並ぶのだ。対応は片言の英語とジェスチャー。お客様の目の前で活イカをさばいたり、フグを膨らませたり、カツオを炙ったりと、ライブ感あふれるショー的な演出をし、いつも喜んでいただいた。ドイツ語のメニューも作成。毎回心を込めて精一杯のおもてなしをしたという。  やがて副社長は任期を終え、ドイツに帰国。ところが1年後、彼から岡田番頭に連絡が入った。「あなたに会いにげん屋へ行きたい。その日はお店にいてほしい」というのだ。そして元副社長は奥様を伴って日本へ、いやげん屋へやってきたのである。涙が出るほど嬉しかったと岡田番頭。この職を選んで本当に良かったと、心から思ったそうだ。(いい仕事してますね!)

●米寿のお祝い
 心に残る二つ目の話。おばあちゃんの米寿のお祝いのため、息子さんから1階貸し切りの予約が入った。誕生日のサービスとして、通常は照明を消してバースデーソングを歌いながらケーキを提供するのだが、この日はプラスαの特別な企画を準備。事前に息子さんからお預かりした写真を編集してDVDを作成し、プロジェクターで大画面に投影させたのだ。おばあちゃんの若い頃の写真や、おじいちゃんがご存命だった頃の写真、家族旅行の写真などがBGMにのせて次々と映し出され、おばあちゃんはもちろん、集まった親族の皆さん全員大感激! 息子さんからおばあちゃんへの感謝のメッセージも映像で流され、みんな感動で胸がいっぱいに。家族全員で幸せな時間を過ごし、素敵な思い出を心に留めていただくことができた。

●20年前のお客様
 三つ目は岡田番頭がびっくりした話。岡田番頭は常連客の顔を500人ほど覚えていて、うち名前のわかるお客様は300人以上。案内状を出す際にお客様のことを思い出すようにしているという。ちなみに300人以上のお客様を覚えているというのは、実力店長の共通点だ。20年前の創業当初からげん屋で仕事をしている市川番頭代理は、約1000人のお客様を覚えている。(すごいですね!)ある日、創業の頃に常連だったお客様が20年ぶりに来店した。市川番頭代理はこのお客様のことをちゃんと覚えていて、お名前を呼んで挨拶したのである。お客様は驚き、たいへん感激して、それを機に再び常連客となった。これには岡田番頭も仰天したという。いったいどうすればそんなふうにお客様の記憶を脳裏に刻み付けられるのだろう。そのヒントが名刺にあった。げん屋では、お客様にいただいた名刺がきちんと整理・保管されている。その数は実に1万枚。見せていただいて私もびっくりした。お客様一人ひとりのことを忘れないよう、一枚一枚にコメントが記されていたのだ。

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